判型 | 四六判上製 |
ページ | 515 |
価格 | 4,800円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0269-6 |
Cコード | |
略号 | |
発売日 | 2020年3月31日 |
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- 解説
20世紀英国小説研究の新しい傾向を踏まえつつ、「小説を読む」意味を問い直す。ヘンリー・ジェイムズからカズオ・イシグロまでの重要な作家の作品論を、幅広い世代の18人の論者が展開する。高橋和久による20世紀英国小説批評の大きな地図となる序論も読みどころ。
- 目次
モダニズムからポストモダニズムへ●高橋和久
1►ヘンリー・ジェイムズ『金色の盃』(1904)──二〇世紀初頭の印象主義●垂井泰子
2►ジョゼフ・コンラッド『シークレット・エージェント』(1907)──スパイ、印象主義、パラドックス●丹治 愛
3►E・M・フォースター『眺めのいい部屋』(1908)──観光とメディアのモダニズム/ポストモダニズム●浦野 郁
4►D・H・ロレンス『息子と恋人』(1913)──オイディプスとアンチ・オイディプス●倉田賢一
5►フォード・マドックス・フォード『善き兵士』(1915)── 信頼できない語り手と印象主義●川本玲子
6►キャサリン・マンスフィールド「幸福」(1918)──心理小説におけるゴシック的不安●侘美真理
7►ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』(1922)──第四挿話と腎臓を食らう男●桃尾美佳
8►ヴァージニア・ウルフ『幕間』(1941)──戦争の気配●片山亜紀
9►イーヴリン・ウォー『ブライズヘッドふたたび』(1945)──語りを動かすクィアなクローゼット●長島佐恵子
10►ジョージ・オーウェル『一九八四年』(1949)──歩くこと、階級、自由●河野真太郎
11►マーガレット・ドラブル『碾臼』(1965)──〈女性作家〉による〈フェミニスト小説〉の解剖●川崎明子
12►ジョン・ファウルズ『フランス軍中尉の女』(1969)──外来種と小説●大久保 譲
13►サルマン・ルシュディ『真夜中の子供たち』(1981)──ポストモダン/ポストコロニアルの異国性とノスタルジア●秦 邦生
14►アラスター・グレイ『ラナーク』(1981)──二〇世紀的叙事詩の形●猪熊恵子15►ドリス・レッシング『夕映えの道──よき隣人の日記』(1983)──老いとケア●迫 桂
16►アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』(1984)──フェアリー・テイル言説の再話●吉野由起
17►J・M・クッツェー『鉄の時代』(1990)──リベラル・ヒューマニストの身体はアパルトヘイトの痛みを感じることができるか●小山太一
18►カズオ・イシグロ『充たされざる者』(1995)──疑似古典主義の詩学●武田将明
あとがき●丹治 愛
人名・作品名索引- メディアほか関連情報
■『図書新聞』2020年6月13日に書評が掲載されました
専門性とリーダビリティの両立。その難題を、この本に収められた十八の論考のほとんどは難なくクリアしている。執筆者の選定に特定の研究者の教え子という縛りをかけながら、このクオリティ。(同志社大学文学部教授・下楠昌哉氏)
■『毎日新聞』2020年6月13日に書評が掲載されました
本書目次には、ジェイムズ(垂井泰子)、コンラッド(丹治愛)、ウルフ(片山亜紀)からイシグロ(武田将明)まで十八の作品論が並ぶ。本稿では、「失敗」と「未遂」というキーワードを頼りに、本論集の今日的な独創性を浮彫りにできたらと思う。(鴻巣友季子氏)
- 著者紹介
- 関連書籍
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モダニズムとは何か
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フィクションの言語/イギリス小説の言語分析批評〈言語科学の冒険5〉
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フォークナー 第2号/特集「フォークナーと同時代人たち」
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G・オーウェル研究/初期作品研究とエッセイ
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モダンの近似値/スティーヴンズ・大江・アヴァンギャルド
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D.H.ロレンス批評地図/フェミニズムからバフチンまで
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一九世紀「英国」小説の展開
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