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日本人に相応しい英語教育/文科行政に振り回されず生徒に責任を持とう

(著者)成田 一  

日本人に相応しい英語教育/文科行政に振り回されず生徒に責任を持とう
判型 A5判
ページ 196ページ
価格 1,500円(税別)
ISBN 978-4-7754-0198-9
略号
発売日 2013年8月20日

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解説

「ゆとり教育」の是正を図りつつも結果が出ない中、平成25年度から全国の高等学校で「英語の授業は英語で行なう」方針が実施されれば、教える側、殊には学ぶ側、双方からの不満で授業が崩壊しかねない。「使える英語」を求める声に押されて、ことばを使う仕組みである文法を軽視した「会話に偏った英語教育」の結果、ネット時代に不可欠な英文の読解・作文力の急激な低下を招いてしまった。本書は、多くの文法操作を共有する言語圏である欧米において成功したコミュニカティブ・アプローチを、そのまま日本の教育現場に適用する誤りを、言語差を根拠に論理的に指摘し、日本人に最も相応しい「英語教育」のあるべき姿を、拡大する幼稚園の英語教育の動向も視野に、大胆に提示する。

目次

はじめに

第1章 英語力はどうすれば伸ばせるか?
「英語が使える」とはどういうことか?
どういう英語が話せれば良いのか
対話をコントロールする
「英語で授業」すれば英語教育は崩壊する
「外国語教育=コミュニケーション」ではない!
英語でする授業の中身
政治家が歪める英語教育
教師の意識
英語での授業の適正な割合
英語で授業すれば英語力が育つのか?
文科省が英語教育を歪め崩壊を招く

第2章 外国語教育は言語的な距離が決定要因
言語・方言・外国語
言語差を踏まえた外国語教育
言語差と外国語習得
言語差のない言語の習得(欧州諸語)
言語差のない言語の習得(日韓語)
日本語はかなり習得しやすい言語
英語は構造制約が大きい
外国語習得の難しさは双方向的ではない

第3章 日本の英語教育の目標をどう設定するか
日本の伝統的な英語教育の目標
文法や読解中心の英語教育は間違っていたのか?
「日常会話が目標」で良いのか?
現実的に達成可能な目標
コミュニカティブ・アプローチ実施の条件
「コミュニケーション」にだまされるな!
コミュニケーションの前に近現代史の知識
伝統・風習・宗教・政治経済・技術・産業
生徒の主体性を重んじる学習の前提
文法知識は役に立つ
囲み記事 社会生活において使う表現

第4章 公立学校外で始動した早期英語教育
「小学校英語教科化」に向けて
幼稚園・保育園の英語学習
英語教育の経済格差
小学校での英語教育は効果ないか?
小学校の教師にいきなり英語活動
退職英語教師を活用せよ!
日本の小学校の教師の意識
「プレキソ英語」は小学校でやれる
Total Physical Responseの文型習得効果
幼児が習得した言語は帰国すると忘れるか?
語彙を習得するとはどういうことか

第5章 音声教育の欠如
「英語を使う」には発音教育が不可欠
英語発音の劇的な変容
発音のダイナミズム
聴き取りの秘儀
単語の綴りが苦手なのは当たり前-綴りと発音が対応しない

第6章 言語習得理論について
何がどのように獲得され管理されるのか?
母語習得メカニズムを外国語習得に利用する宣伝
子供の言語獲得プロセス
コラム 野生児・隔離児
外国語学習には言語獲得期がないのか
母語獲得と外国語習得のメカニズム
ナチュラル・アプローチ
学習されたことが習得につながらないのか?
バイリンガルの脳メカニズム
共通基底能力について
気付きと習得について
コラム 「自動化理論」批判は間違っている
正しい知識を教えることはコミュニケーションへの意欲をそぐか?
外国語の習得はインプットだけではできない
インプット理論は外国語教育にそのまま適用できない
思春期の学習は運用の自動化が難しい
インプットだけで文法は習得できるか?
教科書で扱われるのは最低限の文法事項
記述文法と教育文法は違う
教師が教えるべき文法事項
語法レベルなら生徒でも簡単に発見できる
文法教育をやめて多読に変えれば成績が上がる?
英作文でフィードバックは無駄ではない

第7章 総合的な訳読の多彩な役割
「話せない」のは文法訳読式が原因か?
文法と訳読は相互補完的
訳読は理解確認に不可欠な手段
「上滑りの和訳」を避ける
「和訳を先渡し」の誤謬
英文を日本語の語順に直して訳す
言語分析的に捉えた訳読指導過程
英語で授業をする
脳内の文意理解プロセスの変容
総合的な「訳読」授業の実践
日本語らしい表現
訳読と文法教育
音読による語彙・文法アクセスの自動化
黙読と音読のプロセス
音読による脳の多重活性化
慣用句・連結句
多読・速読の効用
文法・語彙アクセスの自動化に有効
訳読による速読や多読以前の読解力養成
母語と外国語の読解過程

第8章 差し迫った学習動機
学習動機付け
学習目標と学習効果の認識
英語の文法的な仕組みへの知的関心
英語を使わなくても困らない社会
グローバル化だから英語が不可欠?
誤解に始まる「英語が使える日本人」
グローバル化はグローカル化
赴任地域の言語を習得しなければならないか?
グローバルな人材とは?
全ての生徒が英語を学ばなければならないか?
囲み記事 英語の社内公用語化は浅はかな思い込み!

第9章 リメディアル教育
大学のリメディアル教育
海外留学するべきか?
海外留学よりリメディアル
授業には出席ではなく参加が必要
基礎知識を明示的に教えれば劇的に伸びる
生徒のつまずきについて
コラム 第5文型は複文
生徒がつまずく文法事項
何故be動詞を習得し損なうのか?
形容詞の配列制約
二重属格

第10章 どういう英語を教えるべきか?
イデオロギーに囚われない教育
地域英語の特徴
米語をモデルとする根拠
相手の理解度に配慮した言語使用
英語には発音記号が必要!
激変する英語の発音
日本語訛りの英語で良いのか?
どこまでの英語力を目標とするか:目標の二極分化
「イギリス英語」なんか存在しない!
「日本英語」なんてない!

第11章 翻訳と通訳はどう違うのか?
どこまで翻訳できるのか?
異質な文化参照枠に沿った翻訳・通訳
日英同時通訳は神業
修飾関係と翻訳
地域英語の通訳
機械翻訳ではどういった言語処理ができるのか?
囲み記事 テキストの機械翻訳例

主要参考文献
 

掲載情報
著者紹介
  • 成田 一

    大阪大学名誉教授。英日対照構造・機械翻訳・言語教育専攻。上智大学外国語学部卒、国際基督教大学大学院修士課程修了。1975年大阪大学言語文化部に公募採用、助手、講師、助教授を経て1997年教授昇任。2004年大阪大学大学院言語文化研究科教授。2013年3月退職。1981‐82年カリフォルニア大学(UCLA)客員研究員。1988‐89年アラバマ大学(UAH)客員準教授。2012年大阪大学功績賞受賞。

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